道迷い遭難を防ぐために

 

 

. 地図を読む

山を歩く時に、地図が読めるのと読めないのとでは、生死を分けるほど大切なことである。最近、日本百名山など高い山を目指す中高年の人々が多く、大変なブームとなっている。ところが全く地図を持っていない人や、地図は持っていても全く読めない人が大半である。とくに体力のない中高年の人には、夏山であっても、ガス(濃霧)に閉じ込められたり、降雨続きで道に迷いビバーク(野宿)しなければならないことになったら最悪である。

記憶にある.のは、19897月ある観光会社の北海道の登山ツアーで悲劇が起ったのである。もし地図が読めたら、むやみに動き回って体力を消耗することもなく、暗くなって動けなくなりやむなくビバークすることもなく、自力で下山(生還)できたのではないか、と思うと本当に残念でならない。

このような悲しい事故を無くしたい、ひとりでも多くの人に地図読みを伝えたいというのが山歩楽会の活動目的です。簡単な日帰りハイキングの中で、方向と地形と距離および時間を実際に体験しながら習得してほしい。そして、どこへいっても、その技術を充分に活かしてほしいと願っている。

 

. どんな地図が良いか

地図(地形図)にはいろいろなものがあるが、一番正確に近いのが、国土地理院の地図であるといえる。一般的には2万5千分の1が適している。また山座同定をするために5万分の1やアルプスなどでパノラマを展望するために20万分の1などが使われる。

その他では山と渓谷社や昭文社や山の参考書などがたくさんみられる。道路地図は縮尺があれば充分だが、山を歩く地図には縮尺と等高線が必ずあることが絶対に必要である。その上にコースタイムや避難小屋、水場などの情報があれば、なお便利であることは言うまでもない。

 

. 磁北線を引く

常に確認し見る地図や山座同定する地図には必ず磁北線を引く。磁北とは磁石の指す北のことで、地図上の北(真北)とは違う。したがってコンパス(方位磁石)の指す北は真北ではなく磁北である。わが国は沖縄が4.5度位西に傾いており、それが北へ行くほど傾きが大きくなり、関西で7度位、北海道で9度ぐらい西へ傾いている。このため正しく地図を見るためには、地図に磁北線を引く必要がある。

磁北線は地図にない色で、できるだけ細い線を引く、さらに地図上の線と重なるところは破線にする。引き方はコンパス(方位磁石)を使う方法があるが、磁北線の傾き(西偏)10分単位であるため、正しく引くことは困難である。より正確に引く方法として、タンジェント係数を利用した方法を、山歩楽会の月例会では参加者に説明している。

 

. 地図を正しく持つ

地図を正しく持つことを「正置」または「整置」あるいは「整列」ともいう。オリエンテーリング競技では「正置」が一般的に使われている。コンパス(方位磁石)の北(磁北)と地図の磁北線が平行になるように地図を持つ。こうするこしによって地図と実際の地形が合致する。その上で自分の進みたい方向を確認する。

 

. 目的地までのルートを探す

出発地から目的地(到着地点)までのルートを地図上で探す。ルートは地図上の道路記号を辿るが、時には道路記号のない植生境や尾根や沢を選ぶこともある。ルートが決まったらルート上のハッキリしたチェックポイント(確認地点)を地図上に見つける。とくにルートの変化する地点の前後には必ず確認できるものを見つける。

 

. チェックポイントには、どんな物がよいか?

線状特長物として道路、川、高圧線など。点状特長物として建物、神社、寺、橋、堰・ダムその他人工作物など。面状特長物では田畑、果樹園、竹林、針葉林、落葉林などの植生を。地形的特長物では尾根、沢、鞍部、ガケ、こぶ(ピーク)などから選ぶ。

 

. チェックポイント間の距離を測る

地形図は国土地理院の縮尺125,000150,000が使われるが、一般的には125,000が詳しいので便利である。また昭文社や山渓の130,000などもある。さて縮尺の換算方法だが、25,00050,00030,000の下2ケタをカットして、残った250500300がその地図の1cmの距離を表している。すなわち250m、500m、300mということである。

これをもとにコースの変化するチェックポイトごとに何cmか、そしてどの位離れているか、距離を換算し、さらにコース全体の距離を測る。例えば125,000の地図の場合なら4cmで1キロと換算できる。

 

. 所要時間を予測する

では100mを歩くのに、どの位の時間がかかるだろうか。平坦の歩き易い道ならば4kmで5060分で歩く速さで考えると100mは1分15〜1分30秒となる。また逆に1分間にどの位の距離を歩けるかというと80m〜67m位と考えられる。

しかし山道で登りや下りなど条件の違いによって大きな差があるので予測が難しい。単純に標高差300mで登りなら1時間、下りなら、その3分の2ぐらいと考えるとよい。所要時間の予測からコースの長短を考慮する。また休憩場所や昼食の場所を決定する。

 

. サムリーディング

岩場や足元の悪い時は別だが、地図は小さくたたんで手に持ち、現在地点を親指の先で、押さえ、歩くと同じように親指の先も地図上で移動させる。つまり親指の先で押えている所が現在地点ということである。これをサム(親指)でリーディング(読む)という。

地図を手に持てない場合は、コンパスと一緒にすぐに取り出せるポケットなどに入れておく。そしてチェックポイントごとに確認しながら進む。こまかく、これを繰り返しながら進むことによってルートの間違いを防ぐ。

 

10. もし迷ったら

はっきりと地形の確認できる所まで戻ること

腰をおろして ゆっくりと休憩する。慌てて走り回らないこと。

そこで、もう一度「正置」して方向を確認する。

 

毎日新聞 29/4/30() 12:14配信

 山岳遭難 4割超が「道迷い」 神奈川県警調査

 単独行はける

 

 

 

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