想い出の紀行文

 

 

 

屋久島、感動の四日間

                                      羽木 敬子

 ずっと憧れていた屋久島、それが短期間のうちに実現となり夢のような気分。ワクワクしながら空港ターミナルへ向い、会長の姿を見つけて安心。“お早うございます”そしてチケットを受け取りました。1時間余りで鹿児島空港へ、去年登った高千穂峰が目の前に見えました。チャーターバスに乗り換え、港のドルフィンポート内で少し早めの昼食、バイキング料理を楽しみました。

その後、高速船で2時間弱、船窓からは昨秋の開聞岳を懐かしく眺めながら、午後2時過ぎには宮之浦港に到着。海と山をバックに張り切って“1+1=2”の大合唱。迎えに来てくださった3台の車に分乗して「千尋の滝」へ。千回も両手を広げるほど広いという意味で“せんぴろ”と教えて頂きました。とてつもなく大きな一枚岩の上を滑り落ちるように流れる滝、何とも雄大な光景でした。

2組に分かれて、それぞれの民宿へ。私達のお宿はペンション風、ご夫婦2人で経営されているそうで、夕食は豪華版、初物のトビ魚の真子、鮪のお造り、連子鯛の塩焼き、ハンバーグ、根野菜とコラーゲンたっぷりの豚の煮物――などなど。食べ切れない程並びました。翌日がお昼前より雨の予報が出ているため予定を30分早めて4時半に宿を出ることになり就寝。

翌朝は3時15分に起床、4時半に「杉の子宿」のお仲間と共に、それぞれのグループに分かれ、3人のガイドさんの車に分乗して出発。淀川登山口まで1時間余り、途中で紀元杉を見ました。先着のグループもたくさんあり、朝食の弁当を受け取り、朝食を済ませ、ストレッチ運動をして1班から出発。念願の原生林の中へワクワクしながら足を踏み入れました。

 

ドキドキして足が地に着かないようで、大きく息を吐きながら気持ちを落ち着かせ、湿り気を帯びた岩肌のヒトリシズカに目をやりました。存在感を示すようなマムシ草、ホウラクイチゴ、大きなヤマグルマや赤い木肌のヒメシャラ、アセビ、まだ蕾も固いシャクナゲ、マツバツツジにハゼ、シキビ、根幹が幾重にも分かれた巨木、朽ちかけた木にも、たくさんの植物が寄生しています。

お尻が真白な可愛いヤクシカも姿を見せ、淀川小屋付近の橋を渡った折、下を流れる水の綺麗だったこと。この山で一番水の美しい所だそうで、川底は濁りがなく光が差し込み眩しいほど、原生林の懐に抱かれて流れ、また島の人達も汚さぬよう大切に守っておられるのでしょう。

 

高盤岳展望台から3つに切れたトウフ岩が見え、ガイドさんは丁寧に木の名や成り立ちを語ってくれます。白い花をつけたハイノキ、ユズリハ、花之江河の湿原は趣のある風景で白骨林が目立ちました。投石平で休憩9時25分でした。大岩の上に乗って快感、3班も到着です。宮之浦岳まで2.9kmの道標、こんなに高い所までと思うほど小鳥の囀りも聞こえます。シャクナゲの葉の裏に茶色い毛が生えているのは寒さに対しての自衛だそうです。樹林帯を抜けると葉も小さくなり、アセビなどと共に背丈もグンと低くヤクザサなどが多くなりました。ゲンコツ岩だとかモアイの像のような巨石、さまざまな表情を見せる巨岩が次々と現われ、1,867mの栗生岳に着いたのが10時46分、一息ついて頂上を再び目指しました。

心臓破りの坂といわれる登りを越えて、ついに宮之浦岳へ。1等三角点にタッチしたのが11時5分。360度の展望に大感激。思ったより早く着いたのでガイドさんもホッとした様子で“皆さんよく頑張りましたねェ”といってくれました。復路に備えて頂いた元気の源のジュースで乾杯。名残を惜しみつつ下山を開始、ガスも少しずつ上がっているようでした。

 

栗生岳に戻ってランチタイムにしたのが11時半。途中の水場で水を補給(?)していたガイドさんは、お味噌汁をご馳走して下さり、ステキなホットタイムになりました。ガイドの羽生さんは栗生の方で、毎年、栗生岳でお祭りをする習わしがあり、話の通り大きな岩の中には神棚と額入りの写真が飾ってありました。

ガスも大分立ち込め、12時になったので出発、ポツリポツリと落ちてきました。樹林帯までは、まだ1時間ぐらい歩くので雨衣を着用、花崗岩は濡れても滑り難いが根元か凸凹しているので充分注意して・・・との由で気が抜けません。淀川登山口に戻ったのが4時20分、万歩計は3万2千848歩でした。前回の大谷山でも、これ位歩いていたので、それほど辛いとは思いませんでした。

 

宿に帰ると送り出す時は厳しい顔だった会長が、雨も降ってきたので、きつと心配されていたのだと思います。満面の笑みで迎えてくれ嬉しかったです。乾燥室で濡れた雨衣を広げ、風呂も用意されており早速入浴して温もりました。雨足も強くなりましたが、夕食時にはこの日の感想で話も弾みとても賑やかでした。気を揉んでも仕方がないので、少しでも良くなりますようにと願いつつ床に就きました。

3日目、少しはマシになったようで会長から”高所に長いトロッコ道もあるが、どうしても行きたいですか?“との問いに全員“行きたいです!! ”の答。“ガイドさんの指示に従って充分注意して”といわれ、万全の支度をして6時過ぎに出発。30分ほどで荒川登山口に到着。観光バスや他の車も多く昨日より増えた位です。

恐怖心もあったトロッコ道ですが、枕木があるので下を余り見ることも無く割りと楽に歩けました。朽ちて大きな空洞のできた切り株やサクラツツジ、楽しみにしていた“もののけの森”も後がつかえるので垣間見るだけ、1時間ほど歩いた所で先発のグループから“警報が出たので引き返します”との連絡が入り、取りあえず皆の待つ小杉谷学校跡まで行き、全員の集合写真を撮り引き返しました。足元は水量も増えジャブジャブ。川の流れも物凄い轟音と飛沫です。落ちれば命はありません。もう一度見た“もののけの森”は深い緑に包まれて眠っているように見え、声を掛けるのも憚られるようでした。人が来ることを拒絶しているようでした。

予定が島内周遊に変更になり、原生林の中を通る西部林道や豪快な大川の滝、海亀が産卵に来る砂浜など、雨も低地に来ると少しばかり小降りになり、土日のウォークラリーも催されていて雨中でも頑張っている人達を見かけました。

大きな葉で背の高いクワズイモやヤマモモ、ガジュマル、センダン、パパイヤ、黄色い花の特攻花、ブーゲンビリア、ハイビスカス、ブラシノキ、オレンジ色の花をつけたダツラ、白い花のアブラギリ、アマリリスも雑草のように咲いていました。大きな木に絡みついて、藤色の花をいっぱいつけたノアサガオなどが目を楽しませてくれました。それに道路沿いに建てられたお墓は、どのお墓にも美しい花が溢れるばかりに供えられ、先祖を守るというか、亡くなった人を大切に思う心が感じられ心が洗われるようでした。

民宿に戻り入浴後に、ご夫婦が2台の車で「いその香り」まで送ってくれ、全員揃っての賑やかな楽しい会食が始まりました。美味しい握り寿司も出て楽しいひと時を過しました。

最終日の11日も雨、民宿に別れを告げて白谷雲水峡へ向い、二代杉と弥生杉、それに気根杉を見て廻りました。木肌に触れ「気」を頂いたつもりです。とても気持ちの良い所で時間が許せば、何時までも歩いていたい自然の中でした。

雨も止み港まで送って頂き、ガイドさんや民宿のご夫婦達ともお別れ、素晴しい人達に出逢えた屋久島でした。高速船から鹿児島の港へ、そして鹿児島空港を経て、予定通り18時に伊丹空港に到着、元気に帰宅しました。思ったほど疲れていなかったのは原生林という大自然の中に、どっぷりと浸かり新鮮な森の息吹に触れ、美味しい物をいっぱいお腹に入れて心身ともにリフレッシュ、これ以上の贅沢はないというもの。家族にも感謝です。

 病後にも拘わらず綿密なスケジュールを組み、心を砕いて素晴しいツアーを用意して下さった会長ご夫妻に心からの感謝と御礼を申し上げます。本当に有難うございました。縄文杉まで行けなかったのは残念ですが、次の機会を待つことにします。いろいろとお世話になったグループや同行の皆様にも御礼申し上げます。

 

 

 

 

屋久島へ 山歩楽会から行くよー


東雲 タカ子

 5月8日から11日の3泊4日行ってきました。最高の屋久島、これまで数々の山々を登った?けれど何かが違う。宮之浦岳(1,936m)10時間30分登って歩いて目に入るもの総て、その時々で楽しませてくれ、この心地良さ・・・、身体も軽く疲れも感じない。もっとゆっくり歩き、その場に居たかったが雨が降り出し、次の日に縄文杉もあるため、ガイドさんの、できるだけ靴を濡らさないようにとの配慮で、私達も頑張って下山しました。

 台風2号の影響で昨夜からの大雨が続き、早朝のミーティングで大雨洪水警報も時間の問題なので“縄文杉は取り止めるか”という選択も全員一致して、“警報が出た時点まで行く”と出発しました。登山口から始まるトロッコ道、大正12年からの歴史があるという。昔は木材を運び、その後は廃材も運んでいたが昨年3月より廃材も無くなり休止になったそうで、トロッコを見る事はできなかった。

 

 やはり警報が出たので小杉谷集落跡迄で引き返すことになり、足が重い。雨は無情にも降りしきる。本当に豪快である、が雨に色があるとは気がつかなかった。雨は雨と思っていたが、屋久島の雨は透明度が全く違うと感じました。縄文杉は樹齢7,200百年、悠久の時を流れて、今出会えると心時めいたが、簡単には会わせて貰えない、故に神秘である。
 また逢いに来るネ・・・。

山歩楽会の皆様とご一緒出来た事に感謝いたしております。会長ご夫妻の力添えで、たくさんの想い出と楽しい一時を過せ本当に有難うございました。

 




   屋久島は雨が降ったとはいえ、それなりに楽しく歩くことができました。 .

    


    

待望の宮之浦岳、全員登頂バンザイ!! 

トロッコ道も歩き弥生杉も見て、豪快な雨量
の大川の滝、なかなか通れない世界遺産、西部林道の新緑の美しさは雨で得しました。
それぞれ、特長のある四日間の屋久島を味わい感激、満足しております。ご退院直後の
お身体で引率して下さり申し訳なく思いましたが、日に日に食欲活気が増されお喜び申し
上げます。一同無事の帰阪出来有難うございました。           .


屋久島は幸運に「宮之浦岳」に登頂できて、とても感激でございました。会長には
ご体調悪いにも拘わらず、ご同行頂き心強いことでございました。ご一緒に山行きが
できる日を楽しみにしております。                  
.


 

屋久島への思い  松井喜章

 2月に帰郷した折、姪夫婦の屋久島の宿が良かった、コースも特に心配することもない、という話を聞き、急に決め15人の募集をしましたところ、予想外に大勢の申込みがあり21人で行くことになりました。ところが3月半ばに入院し4月初めに手術を受け順調に4月8日に退院しました、が腸閉塞を起こし6日目に再入院。一時は屋久島に行けないかも、皆さんにお断りしようと考えました。幸い日数がありましたので何とかギリギリまで頑張ってみようと思いました。

 鹿児島のバスのこと、高速船のこと、私がガイドは無理なので現地の専門ガイドのことなど、病院から毎日 現地に電話して打合せをしました。入院も1ヶ月半、体重も10`減りました。5月2日が74才の誕生日でしたので、先生に無理をいって退院させて貰いました。屋久島行きまであと6日でした。食事が半分もできない状態で食べ過ぎると、また再々入院になるので、なるべく食べないようにして、当日を迎えました。

 空港でお一人ずつ皆さんの顔が見えて、嬉しくて目が潤んできました。空路、バス、海路と順調に憧れの地に到着。2日目の宮浦岳は全員が登頂できましが、3日目の縄文杉は生憎の天候で断念、皆さんのクヤシイ思いが伝わりました。

 折角のツアーが私の体調管理の悪さから、皆さんに充分に楽しんで戴けなかったことが悔やまれてなりません。ただ、ひとりの怪我もなく無事に終了できました。

    皆さんのご協力に感謝いたします。本当に有難うございました。
                   


 

 

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